Vol.88
『ゼクシオ ナイン』アイアンを検証する
2000年に登場した初代から数えて9代目モデルとなる『ゼクシオ ナイン』。今では、どこのゴルフ場に行っても多くのゼクシオ・ユーザーを見かけますが、『ゼクシオ ナイン』アイアンはどう進化しているのか、私なりに詳しく検証してみました。(実測データは別表参照)
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- 球をつかまえるイメージで素直に構えられるヘッド
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実はゼクシオのアイアンを構えてみるのは久しぶりでしたが、『ゼクシオ ナイン』のフェース形状は長さと高さのバランスが良く、素直にアドレス出来ます。そして、強めのグースネックと丸いトップラインにより、球を包み込むようなイメージが出ています。これらの点は過去のゼクシオ・アイアンから踏襲されているもので、確かに構えた時にとても安心感があります。
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- 低重心と深い重心深度でさらにやさしくなったヘッド
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優れた設計技術により作られるゼクシオ・アイアンですが、「モデルチェンジしても、見た感じがあまり変わらないのがかえって良い」と言うユーザーもいます。しかし、中身は確実に進化していて、今回『ゼクシオ ナイン』アイアンのヘッドを計測してみて、先代の「ゼクシオ エイト」よりも低重心になり、さらに重心深度も深くなっていることに驚きました。ゼクシオ・ユーザーには、アイアンをスウィープにスイングして、上手く球だけを拾うタイプの人が多いと思いますが、そういうスイングでも、低重心設計にすることでよりスウィートスポットに当たりやすくなり、当りが薄いショットでも問題なく球が飛んで行きます。
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- 振りやすい「MP900シャフト」とスチールでも高弾道が打てる「N.S.PRO 890GH DST for XXIO」
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アイアンのシャフトに関しては、今回の「MP900」と先代の「MP800」を実際に試打してみてのフィーリングは、正直なところドライバーほどには違いが分かりにくいものの、「MP900」仕様は振りやすく、そのために弾道も高くなり、非力なゴルファーでもビッグな球を打ちやすくなったのは確かです。
また、新しく装着された軽量スチールシャフト「N.S.PRO 890GH DST for XXIO」(以下890GH)ですが、先代モデルの「900GH」とくらべてクラブ重量が軽くなって振りやすくなり、弾道が少し高くなったと思います。実際に芝の上からも試打しましたが、ヘッドのバンス角が小さいので、ターフをとらずにスウィープにスイングした方が上手く振り抜けました。
ゼクシオの進化は、スチールシャフトの重量にも見ることができます。6代目から今回の『ゼクシオ ナイン』までの重量の変遷を見ると、950→920→900→890(単位はグラム)と軽量化され続けているのは、本当にすごいことだと思います。
松尾好員の辛口トーク
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- ライ角度の設定を1度アップライトにしてもよいかも
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今回、スチールの「890GH」仕様とカーボンの「MP900」仕様の両方を試打しました。その試打クラブは、それまで多くの方々に使われたセットのようですが、フェース面の傷はもっぱらトウ側に集中していました。また、ゴルフ場でゼクシオ・ユーザーをじっくり見ていますと、フェースをかぶせて(フックフェースにして)アドレスされている方が多いのですが、これはインパクトでフェースが開いて右に飛びやすいために経験的にフェースをかぶせていると推測出来ます。
以上のことから、次回モデルでは、ライ角度を1度アップライトにして、もう少し球をつかまえやすくしても良いのではないか、と思うところです。
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- AWとSWをグースネック系イメージにしてもよいのでは?
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ゼクシオのアイアンをセットで見ますと、PWまではグースネックアイアンなのですが、AWとSWが急にストレートネックになっています。セットとして使用するには、AWもSWも今よりもグースネック系にした方がむしろアベレージゴルファーには球をとらえやすく、構えやすいと思うのですがいかがでしょうか。
『ゼクシオ ナイン』アイアン 実測データ
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#5 |
#7 |
#5 |
XXIO8 #5 |
XXIO8 #7 |
XXIO8 #5 |
MP900-S |
MP900-R |
NS890-S |
MP800-S |
MP800-R |
NS900-S |
クラブ長さ |
inch |
38.0 |
37.1 |
38.0 |
38.0 |
37.0 |
38.0 |
クラブ重さ |
g |
360.8 |
366.3 |
392.6 |
358.3 |
365.0 |
397.2 |
スイングウエイト |
|
D0.4 |
C9.5 |
D2.2 |
C9.8 |
C9.0 |
D2.5 |
クラブ慣性モーメント |
gcm² |
265万 |
260万 |
273万 |
263万 |
258万 |
274万 |
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ヘッド重さ |
g |
252.1 |
266.2 |
---- |
250.2 |
264.0 |
---- |
リアルロフト |
deg |
24.0 |
30.2 |
---- |
24.5 |
30.0 |
---- |
ライ角 |
deg |
60.5 |
61.4 |
---- |
61.0 |
62.0 |
---- |
フェースプログレッション |
mm |
1.5 |
1.8 |
---- |
1.5 |
2.4 |
---- |
ソールバンス角 |
deg |
-2.5 |
-0.2 |
---- |
-0.5 |
0.0 |
---- |
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重心距離 |
mm |
39.4 |
40.1 |
---- |
40.7 |
39.8 |
---- |
重心深度 |
mm |
4.9 |
3.8 |
---- |
4.0 |
3.1 |
---- |
スウィートスポット高さ |
mm |
19.4 |
20.0 |
---- |
19.8 |
20.4 |
---- |
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ヘッド左右慣性モーメント |
gcm² |
2,807 |
3,015 |
---- |
2,796 |
3,041 |
---- |
ヘッド上下慣性モーメント |
gcm² |
591 |
679 |
---- |
612 |
696 |
---- |
ネック軸回りモーメント |
gcm² |
6,244 |
6,765 |
---- |
6,367 |
6,697 |
---- |
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