
第2回 フェアウェイウッド&ユーティリティ編
“100のカベ”をなかなか破れずに悩んでいるアベレージゴルファーのみなさんに、「クラブ・身体・スイング」を三位一体としたレッスンで知られる理論派プロ・永井延宏氏が、クラブ選びの観点から、そのカベをクリアするための考え方をアドバイスする連載企画。2回目のテーマは、「100を切るためには、絶対に使いこなすことが必要」と永井プロが強調するフェアウェイウッドとユーティリティ。どちらも、ナイスショットの確率を高めるヒントはシャフトにあるようだ。
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フェアウェイウッドでトップが出やすいなら、シャフトを硬めに
アベレージゴルファーの場合、フェアウェイウッドやユーティリティが打ちこなせる人イコール上手い人といわれます。どういうことでしょう? たとえば、パー4でドライバーのティショットがうまくいったときはもちろん、失敗したときに第2打でフェアウェイウッドやユーティリティを上手に打てれば、グリーン周りまで持ってこられます。すると、悪くてもボギーで上がる。さらに、フェアウェイウッドやユーティリティでツーオンできたり、アプローチがうまくいけばパーも狙える。だから、アマチュアには、フェアウェイウッドやユーティリティはスコアメイクに重要なクラブなのです。特に距離のあるコースでプレーする機会が多い人や、月例などの球技に出る人は、余計にフェアウェイウッドやユーティリティを使う比率が高くなるはずです。
実際、アマチュアがフェアウェイウッドのショットでおかしがちなミスは、シャフトがしなり過ぎてトップしてしまうというもの。上級者向けのヘッドを使っているわけでもないのにトップが出る人は、これを疑ってみる必要があります。
こういう人の場合、手元は打ち込む動きができているのに、インパクト時のシャフトのキックが強く出すぎてトップになってしまうわけで、これは現在主流の重心が深いヘッドに起こりがちな問題です。
これを防ぐ方法のひとつは、先端の硬いシャフトを選ぶこと。あるいは、他の番手よりもフェアウェイウッドのシャフトを少し硬めにしてみるのもいいでしょう。たとえば、ドライバーのフレックスがRなら、フェアウェイウッドはSRでもいいと思います。
つかまりがよくラクに距離が稼げる『ゼクシオ』のユーティリティ
とはいえ、フェアウェイウッドはやはり難しい。そこで100切りをめざすみなさんに私がお勧めするのはユーティリティ(ハイブリッド)です。「アイアン感覚で打てる」というのがその理由です。そのユーティリティですが、ほんの数年前までは、どのメーカーのモデルも完成度が低い印象がありました。かなりヘッドスピードがあり、左へのミスを恐れるゴルファーにとって、ヘッドが返りにくいユーティリティは思い切って叩けるクラブでした。でも、その恩恵が受けられるのはヘッドスピードの速い人だけで、アベレージゴルファーにはあまり魅力的なクラブではなかったのです。かくいう私も、ユーティリティはあまり得意なクラブではありませんでした。

ユーティリティには、フェアウェイウッドで感じるデメリットがほとんどありません。シャフトの余分なしなりが少ないですし、手元とヘッドの挙動が同じなのでスムーズにインパクトを迎えられるイメージがあります。そのため、ヘッドのコントロールがしやすく、強い球でラクに飛距離が稼げるのです。
ユーティリティを選ぶ際の注意点ですが、フェースの長いモデルはやさしそうに見えるもののヘッドが返りにくいため、ヘッドスピードのない人は避けたほうが無難です。どうしても欲しいのなら、絶対に試打はすべきです。
また、フェアウェイウッドとユーティリティをセットで揃える場合には、シャフト選びに注意すべき。メーカーによっては両者のギャップが大きく、フェアウェイウッドはうまく打てるのに、ユーティリティになるとフィーリングが変わってしまってうまく打てないというケースはアベレージゴルファーや女性に多く見られます。そんな人は、フェアウェイウッドよりもユーティリティのシャフトをやわらかめにするといいでしょう。
自信を持って170~200ヤードを打てる一本を見つけよう
最近ではセルフプレーが増えていますが、ティショットを打ったあと、カートに乗って2打目地点まで行き、さあ打とうとなったとき、みなさんには自信を持ってバッグから抜けるクラブがあるでしょうか? 冒頭の繰り返しになりますが、こういうときに信頼できるフェアウェイウッドかユーティリティがあると、100切りにはとても有効です。言い換えれば、100切りを目指すなら、フェアウェイウッドかユーティリティを使いこなせないとダメ。番手は何でもいいので、自分の武器になるクラブ、自分のゴルフの「核」になる一本を持つことが大事なのです。
ヘッドスピードの低い女性ゴルファーの場合、球が上がり切らずにライナー性の弾道になってしまうことは多いと思いますが、距離が稼げているので、コースマネジメントとしてはとりあえずOKです。もちろん弧を描くようなきれいな弾道が打てれば理想的ですが、ライナーでもいいのです。男性の場合も、たとえミスをしても150ヤードくらい前に進んでくれればボギーオンが見えてきます。
これも繰り返しになりますが、スイング軌道が不安定なゴルファーには、やはりシャフトのしなりが大きなフェアウェイウッドを使いこなすのは難しいものです。そのため、無理に3番ウッドを使うよりも、多少距離を落としてでも、自信のあるクラブで打つほうがスコアメイクには効果的なはずです。
それでもフェアウェイウッドにこだわるゴルファーで、なかなかうまく打てないという人は、硬め・重めのシャフトを試してみることをお勧めします。また、トップが出がちな人の場合、ヘッドがもう少し深く入れば打ち込みやすくなります。それには、ヘッドに鉛を貼って重くするのが有効で、私も生徒さんにアドバイスしています。ただ、鉛をヘッドの後方に貼ると、重心が深くなって余計にシャフトのしなりが出て、ますます当たりにくくなってしまうので、鉛は必ずヒール寄りに貼るようにしてください。
PROFILE

永井延宏(ながい・のぶひろ)
1969年埼玉県生まれ。日大桜ケ丘高校でゴルフ部キャプテンとして活躍。卒業後、アメリカにゴルフ留学。ミニツアーに参戦しながらスイング研究に取り組む。その後、国内やオーストラリアでティーチングを行い、片山晋呉プロをはじめツアープロの優勝に貢献。古武術やゴルフギアについても造詣が深く、「クラブ・身体・スイング」が三位一体となった独自のティーチング理論は高い評価を受けている。2006年度ゴルフダイジェスト社選「レッスン・オブ・ザ・イヤー」受賞。永井延宏オフィシャルウェブサイト「Deep in Golf」http://www.deepingolf.com/