2015年以降の記事はこちらをご覧ください。
■vol.82
『ゼクシオエイト』アイアンを検証する
(2014,6,19)
■vol.81
『ゼクシオエイト』フェアウェイウッドとユーティリティを検証する
(2014,5,14)
■vol.80
『ゼクシオエイト』ドライバーを検証する
(2014,4,8)
■vol.79
『スリクソンZアイアン』を検証する
(2013,2,19)
■vol.78
『スリクソンZフェアウェイウッド』を検証する
(2013,2,19)
■vol.77
『スリクソンZドライバー』を検証する
(2013,2,19)
■vol.76
『ゼクシオ7』アイアンを検証する
(2012,7,4)
■vol.75
『ゼクシオ7』フェアウェイウッドとユーティリティを検証する
(2012,6,15)
■vol.74
『ゼクシオ7』ドライバーを検証する
(2012,5,30)
|
 |
 |
VOL.1 |
 |
HI-BRID DIGITAL AUTOFOCUS |
 |
|
|
|
|
ゴルフクラブの設計を仕事にしております松尾です。このような仕事をしていることから、日々、様々なクラブを研究しています。そのような背景もあって、この度、ダンロップのクラブを私なりに検証させて頂くコラムを、このウェブに持つことができました。いいクラブなのか、ちょっとイマイチなのか、発展途上のクラブなのか、そのあたりをはっきりと明言していきたいと思っています。そんなわけで、ゴルフクラブにこだわりのある方々に、少しでも楽しくお役に立つものになればと思っています。
 |
第1回目の今回は、今シーズンから「デジタルインパクト」というキャッチフレーズでそのハイテク
ぶりを旗印に掲げるダンロップの、イチオシニューモデルである『ハイブリッドデジタルオートフォーカス』のウッドを分析しました。まずは私の工房であるジャイロスポーツでこのクラブを様々な角度から実測しました。
実際に商品となったクラブはどこのメーカーでもそうですが、カタログなどに表示される数値と若干の誤差が生じます。ダンロップのクラブはその誤差が非常に少なく、優秀なメーカーであることが知られています。今回、私のもとに来た『ハイブリッドデジタルオートフォーカス』ウッドは、実測したところ、クラブの長さは45.4インチと表示よりもわずかに長めですが、超尺傾向を避けて振りやすさを重
視した設計です。そして、クラブの重さはSシャフトで294gでスイングウェイトD1.2。Rシャフトで
290gスイングウェイトがD0.0となっています。この誤差はやはり大変に少ない物といえるのです。
さて、クラブの振りやすさは、クラブ全体の慣性モーメントに左右されるのですが、このクラブの慣性モーメントを測定すると、Sシャフトで288万gcm2、Rシャフトで284万gcm2と、市販クラブの平均値で
ある291万gcm2よりかなり小さくなっています。つまり、大幅に振りやすいクラブであることが分かります。ちなみにアイアンの1番手差は約1.5~2.0万gcm2ありますので、このクラブのように3~4万gcm2違えばアイアン2番手分の振りやすさを持っているということになるのです。
一方、ヘッド輪郭はオーソドックスな丸型形状で、体積は310mlと特別に大きくはありませんが、投影面
積が大きく構えた時に安心感があります。また、クラウン部のトゥ側を高くヒール側を低くした設計で、視覚的にライ角度がアップライに見えるように作られています。
そして、スィートエリアの広さ、つまりやさしさを表わすヘッドの慣性モーメントは3304gcm2でした。これは市販ヘッドの平均値3079gcm2より大きくなっていますので、打点のばらつくアベレージゴルファーの方でも安心して使うことができると思います。
こうして計測を終え、実際にこのクラブを試打してみました。すると、確かに振りやすく、その上
シャフトがかなり軟らかく作られていますので、ボールが上がりやすくなっています。また、少々打点
を外 して打ってみたのですが、ボールの曲がりが少なく、弾道が安定することがわかりました。ミス
ショットが、ミスにならなくてすむということでしょう。
それと重心距離が長く、ネック軸回りの慣性モーメントが大きいために、フックし難いクラブでしたので、フェースをクローズ状態に保ってスイングするとよいでしょう。SとRの両方のフレックスを試打しましたが、シャフトが軟らかめということもあるので、少々ヘッドスピードが遅い方でも、Sフレッ
クスがよいと思います。具体的には、ヘッド速度が40m/s(飛距離にして210ヤード前後)あれば、S
フレックスで十分ではないかと思いました。
次回は『ハイブリッドデジタルオートフォーカス』アイアンを、私なりに評価してみたいと考えています。
|
|
|