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■vol.82
『ゼクシオエイト』アイアンを検証する
(2014,6,19)
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『ゼクシオエイト』フェアウェイウッドとユーティリティを検証する
(2014,5,14)
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『ゼクシオエイト』ドライバーを検証する
(2014,4,8)
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『スリクソンZアイアン』を検証する
(2013,2,19)
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『スリクソンZフェアウェイウッド』を検証する
(2013,2,19)
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『スリクソンZドライバー』を検証する
(2013,2,19)
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『ゼクシオ7』アイアンを検証する
(2012,7,4)
■vol.75
『ゼクシオ7』フェアウェイウッドとユーティリティを検証する
(2012,6,15)
■vol.74
『ゼクシオ7』ドライバーを検証する
(2012,5,30)
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VOL.31 |
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『スリクソンW-505 』ドライバーを検証する |
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「スリクソン」は世界のプロゴルファーや競技指向の上級者を満足させるために開発されているブランドです。そして日本のツアーでは、SRIスポーツと契約している男子選手の多くが、現在「スリクソン」のニューモデルである『スリクソンW-505』に替えてツアーを戦っています。
今回の『スリクソンW-505』は『W-404』よりヘッドが約20cm3大きくなって、迫力が増しています。果たしてその性能はどのように変わったのでしょうか? クラブとヘッドをじっくり検証してみることにしました。(実測データは別表)
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1. |
体積が大きくなっても球がつかまりやすそうに感じる形状
「スリクソン」モデルは、ヘッド体積がこれまで『W-201』が303cm3、『W-302』が380cm3、『W-404』は405cm3となり、この『W-505』は420cm3と着実に大きくなり、ツアープロも確実に400cm3オーバー時代を迎えています。
『W-505』ヘッドの全体的な形状は「スリクソン」の伝統的な丸い形状で、『W-404』よりもさらにヒール側のふくらみが大きく、そのヒールサイドの力強さを感じます。
また、『W-505』は420cm3の体積になったことにより、『W-404』よりもディープフェースになって迫力が増しています。そして、クラウンのトウ側の高さが高く、構えると実際のライ角度よりもアップライに見えて球がつかまりやすそうに感じられるので、よりスイングを楽にさせてくれます。
また、ハイバック形状で、アドレス時にヘッドの安定感があり、とても構えやすいです。
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2. |
体積のわりには操作性の良いヘッド
『W-505』は『W-404』よりもヘッド体積が20cm3も大きくなっていますが、重心距離はほとんど変わっていません。
このため、ヘッドの返りやすさの目安となるネック軸回りの慣性モーメントが 6100~6200gcm2くらいに抑えられていますので、体積のわりには操作性の良いヘッドと言えます。
したがって、球のつかまりは良く、力強いドロー系の弾道が打ちやすくなっています。
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3. |
ヘッド慣性モーメント値がアップして、よりミスショットに寛容に
『W-505』はヘッド体積が大きくなり、ヘッドの左右の慣性モーメントが約10%、上下の慣性モーメントが約5%向上し、スイートスポットから外れたミスショットに寛容になりました。
したがって、ツアープロだけでなく、アマチュアにとってもフェアウエイキープしやすく、平均飛距離も伸びるでしょう。
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4. |
SLEルール適合ヘッドでも高くて心地良いインパクトサウンド
今回は同じロフトでも、2つの『W-505』のヘッドを比べています。1つはSLE(Spring Like Effect)ルール適合ヘッド、つまり俗に言う低反発ヘッドです。そして、もう1つは従来からの高反発ヘッド(2007年末まで適合)です。
2006年から公式戦(各地区アマチュア選手権の予選も含む)に出場される方はSLEルール適合ヘッドを使用しなければなりません。
さて、SLEルール適合ヘッドですが、これは通常、フェースの厚みを厚くして反発を落とします。このために、インパクトサウンドが同じモデルの高反発に比べて低くなってしまいます。
しかし、『W-505』は試打中でも、周りの方から「それ高反発?」と聞かれるくらい、高くて心地良い音がします。
また、今回の検証では、SLEルール適合ヘッドのほうが少しヘッド重量は重く、クラブ重量も少し重くなっていました。
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5. |
クラブが短くなってミート率重視で飛距離アップ
ヘッド体積を大きくするとクラブ長さを長くしたがるメーカーもありますが、この『W-505』は、そうしたことをせず、明らかにミート率重視が伺えます。
クラブ長さを短くすることでヘッド重量を重くできるので、ヘッドが持つパワーを大きくできます。
したがって、SLEルール適合クラブでも飛距離の低下をほとんど感じません。
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6. |
『W-404』よりも、わずかにパワーが必要
クラブとして大事なことは、対象ゴルファーにマッチした重さに仕上がっているかです。これはクラブが軽ければ良いという意味ではありません。
私は「スリクソン」のターゲットゴルファーは、ヘッド速度が45~50m/sくらいだと見ています。そうしますと、振りやすさの指標となるクラブ全体の慣性モーメントが290万~294万gcm2ですと、スイングスピードとマッチしやすくなります。
実際、『W-505』のデータを見ますと、9.5度のSシャフト仕様で292万gcm2(適合モデル)、そして10.5度のSRも291万gcm2(適合モデル)に仕上がっています。
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7. |
しなりを感じながらもしっかり感の有るシャフト
『W-505』に装着されているシャフト「SV-3003J」は、『W-404』のシャフト「SV-3001J」よりも、中間部から手元にかけての剛性が下がり、ダウンスイング中にしなりを感じることができます。
通常、軟らかくした場合にはねじれ感を感じますが、今回の「SV-3003J」はシャフト全長域でねじれが抑えられていますので、むしろしっかり感を感じます。
したがって、ヘッドの慣性モーメントが改善されたことと、シャフトのねじれ剛性が改善されたことで、ミスショット時のヘッドのブレも抑えられています。
「しなりを感じて振りやすく、しかもねじれが少ない」このシャフトは、大型ヘッドへの対応として大いに評価できます。
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■松尾好員の辛口トーク
ヘッドの操作性が維持されています。このために、球のつかまりが良くなっているのは実感できると思います。しかし、ドロー系プレーヤーや、左に行かせたくない人にとっては、球がややつかまる感じがあります。
次回は、『スリクソンI-505アイアン』ついて検証します。
『スリクソンW-505 』実測データ
|
9.5-S
高反発 |
9.5-S
適合 |
10.5-SR
高反発 |
10.5-SR
適合 |
W404
9.5-S |
W404
10.5-SR |
クラブ長さ |
inch |
44.75 |
44.75 |
44.75 |
44.75 |
45.0 |
45.0 |
クラブ重さ |
g |
321.3 |
322.8 |
317.1 |
320.3 |
317.9 |
311.6 |
スイングウエイト |
|
D1.5 |
D2.5 |
D0.6 |
D1.7 |
D2.2 |
D0.8 |
クラブ慣性モーメント |
gcm2 |
290万 |
292万 |
288万 |
291万 |
291万 |
287万 |
|
ヘッド重さ |
g |
194.3 |
195.1 |
194.8 |
195.7 |
192.8 |
194.6 |
ヘッド体積 |
ml |
423 |
423 |
425 |
427 |
403 |
406 |
リアルロフト |
deg |
10.7 |
10.2 |
11.5 |
11.5 |
10.6 |
11.5 |
ライ角 |
deg |
57.0 |
56.5 |
56.8 |
56.8 |
57.0 |
57.0 |
フェース角 |
deg |
HOOK
0.5 |
HOOK
0.5 |
HOOK
1.0 |
HOOK
1.0 |
HOOK
0.7 |
HOOK
0.9 |
フェースプログレッション |
mm |
18.8 |
18.7 |
20.2 |
20.1 |
18.0 |
18.1 |
|
重心距離 |
mm |
36.4 |
36.4 |
38.2 |
37.9 |
36.2 |
38.0 |
重心深度 |
mm |
31.8 |
31.5 |
32.8 |
32.2 |
33.5 |
34.1 |
重心角 |
deg |
17.6 |
17.7 |
17.9 |
17.2 |
21.5 |
21.4 |
フェース高さ |
mm |
56.4 |
56.5 |
56.5 |
57.0 |
55.2 |
55.0 |
スウィートスポット高さ |
mm |
35.3 |
35.3 |
35.8 |
35.6 |
34.6 |
35.5 |
有効打点距離 |
mm |
21.1 |
21.2 |
20.7 |
21.4 |
20.6 |
19.5 |
|
ヘッド左右慣性モーメント |
gcm2 |
3,750 |
3,748 |
3,857 |
3,867 |
3,409 |
3,563 |
ヘッド上下慣性モーメント |
gcm2 |
2,317 |
2,319 |
2,406 |
2,419 |
2,263 |
2,299 |
ネック軸回りモーメント |
gcm2 |
6,190 |
6,168 |
6,253 |
6,144 |
5,862 |
6,288 |
※このデータは、松尾好員氏による測定結果です。測定方法の差異により、当社の公表値と異なる場合があります。 |
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