「松尾好員が斬る!」はリニューアルしました。2015年以降の記事はこちらをご覧ください。
バックナンバー

クラブデザイナー松尾好員氏による甘辛ギア評論 松尾好員が斬る!
VOL.59

『The ゼクシオ REVO』ドライバーを検証する


 昨年、モデルチェンジした『The ゼクシオ』ドライバーは、従来同様にベストセラーを続けており、それは日本の多くのアベレージゴルファーから支持されているという証拠でしょう。そして、今回その『The ゼクシオ』をさらに進化させた、つまり英語で言うREVOLUTIONさせたモデルということで、その頭文字をとった『The ゼクシオ REVO』ドライバーが登場しました。いつものように、じっくり検証してみることにしました。(実測データは別表)


1. ミスヒットに強い!『ゼクシオ』史上最大の慣性モーメント
 『The ゼクシオ REVO』は『The ゼクシオ』に比べて、ヘッドの慣性モーメントが左右、上下方向ともに10%以上も大きくなっており、『ゼクシオ』史上最大の慣性モーメントになっています。そのために、フェースのスイートスポットを大きく外れたミスヒットでも、インパクトでヘッドがブレにくく、飛距離、方向性ともにより安定しています。また、「パワーチャージフェース」により、SLE規則適合範囲内でも最大限の反発性能が得られるように設計されています。
 
2. ヘッドの投影面積が大きく、安心感がアップ!
 『The ゼクシオ REVO』は『The ゼクシオ』に比べて、ヘッド全体が扁平かつシャローになり、ヘッドの横幅が広く、投影面積が大きくなっています。そのために、構えたときの安心感が高く、しかも『The ゼクシオ』と同じクラブ長さにもかかわらず、クラブ長さが短く感じられ、扱いやすいイメージが出ています。最初はヘッドが大き過ぎるかな?と思えるかもしれませんが、しばらく打っているとすぐに慣れると思います。
 
3. 球がつかまって、大きな弾道が打てる
 『The ゼクシオ REVO』は『The ゼクシオ』に比べて、ライ角度がアップライで球がつかまりやすくなっています。また、『The ゼクシオ』に比べて重心深度が深いためにインパクトロフトが大きくなり、しかもフェースプログレションも大きいので球が上がりやすく、全体的に球がつかまった大きな弾道を打ちやすくなっています。
 
4. 高打ち出しで、低スピンも得られる
 『The ゼクシオ REVO』はヘッド全体が扁平タイプなので、自ずと『The ゼクシオ』よりもフェースがかなりシャローになっており、そのためにフェースのスイートスポット高さもかなり低くなっています。従って、インパクト付近で無理にアッパーブローにスイングする必要がなく、むしろレベルにスイングすれば自然に球がスイートスポットやその上側にも当たりやすくなっています。そのために球の打ち出し角度が高く、かつバックスピン量が少なくなりやすいので、強い弾道になりやすくなっています。
 
5. 球をつかまえ、大きく飛ばすシャフト
 シャフトに関しては、『The ゼクシオ』で評判の良い「MP500」シャフトが装着されています。「MP500」シャフトは、手元部の剛性が上がっているためにダウンスイングでのシャフトの無駄な変形を抑えてくれるだけでなく、シャフトの中央部付近が軟らかく設計されているのでしなり戻りのタイミングが良く、シャフトでも球がつかまりやすくなっています。
 

■松尾好員の辛口トーク
 今回の『The ゼクシオ REVO』に関しては、辛口トークはありません。正直な感想を言いますと、個人的には、この新しい『REVO』のほうが、『The ゼクシオ』よりも飛距離、方向性ともに上回るゴルファーが結構いるのではないかと思うのです。極端な言い方ではありますが、多くのショットがミスショット?とも言えるアベレージシニアゴルファーの方にとっては、ミスショットへの寛容性が高い、この『REVO』を選ぶべきではないかと思います。

The ゼクシオ REVO ドライバー 実測データ
  The ゼクシオ REVO The ゼクシオ
9.5度 S
MP500
10.5度 R
MP500
9.5度 S
10.5度 R
クラブ長さ inch 45.75 45.75 45.75 45.75
クラブ重さ g 288.4 282.6 289.3 282.0
スイングウエイト   D1.8 D0.9 D1.8 D1.0
クラブ慣性モーメント gcm2 288万 285万 288万 285万
 
ヘッド重さ g 192.1 192.2 188.9 188.6
ヘッド体積 ml 450 450 459 453
リアルロフト deg 10.4 11.7 10.9 12.2
ライ角 deg 59.0 59.0 58.0 58.0
フェース角 deg HOOK 2.0 HOOK 2.0 HOOK 1.3 HOOK 2.5
フェースプログレッション mm 20.3 20.1 17.9 19.4
 
重心距離 mm 39.0 39.1 40.1 39.9
重心深度 mm 39.4 40.5 38.3 37.6
フェース高さ mm 49.2 49.7 53.2 53.2
スウィートスポット高さ mm 31.5 32.6 34.2 34.9
低重心率 % 64.0 65.6 64.3 65.6
 
ヘッド左右慣性モーメント gcm2 4,835 4,844 4,164 4,133
ヘッド上下慣性モーメント gcm2 2,851 2,824 2,522 2,478
ネック軸回りモーメント gcm2 7,351 7,378 7,040 7,019
※このデータは、松尾好員氏による測定結果です。測定方法の差異により、当社の公表値と異なる場合があります。

松尾好員(まつお・よしかず)
1957年 大阪生まれ
1975年 三国丘高校在学中に第一回関西ジュニアゴルフ選手権優勝。
1980年 神戸大学工学部卒、同年住友ゴム工業(株):ダンロップに入社し、以来、ゴルフクラブの開発 に携わる。ツアープロ用のクラブの設計も数多く行い、開発した主なプロはS・バレステロス、I・ウーズナム、D・フロスト、M・マッカンバー、T・リーマン、D・グラハム、F・ゼラー、H・サットン、N・プライス、青木功、加瀬秀樹、宮瀬博文ら多数のPGAプロ。
1995年 震災で人生観が大きく変わり、より深くゴルフクラブのことを勉強する為に独立を決意。
1996年 4月に住友ゴムを退社。同年5月に有限会社ジャイロスポーツを設立し、ゴルフクラブの設計を手掛け現在に至る。