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クラブデザイナー松尾好員氏による甘辛ギア評論 松尾好員が斬る!
VOL.61

ニュー『ゼクシオプライム』フェアウェイウッドを検証する


 新しい『ゼクシオプライム』のドライバーは、高めの弾道で、しかも球をつかまえて飛ばせるドライバーだということがよくわかりました。では、『ゼクシオプライム』のフェアウェイウッドはどんなクラブなのでしょう?外観が素晴らしく美しく、特にソール面がきれいなので地面を打つには忍びない感じがするほどですが、果たしてその性能はどのように進化しているのでしょうか?ドライバー同様、じっくり検証してみることにしました。(実測データは別表で、前モデルとの比較付き)


1. ドライバー同様に球がつかまる
 まず、『ゼクシオプライム』のフェアウェイウッドを見て気がつくことは、ドライバーと同様に、ヘッドがシャローフェース設計であることです。ヘッドの上面(クラウン部)もやや平たく作られており、アドレスしたときに球を上げやすいイメージが上手く出ています。
 そして、適度なフェース角設定と前モデルよりもアップライになったライ角により、球がつかまりやすく、ドロー系弾道を打ちやすくなっています。さらに、反発の良い「パワーチャージフェース」で強い球も得られます。
 
2. ヘッドの慣性モーメントが大きくなって、やさしくなった
 今回の『ゼクシオプライム』のフェアウェイウッドは、前モデルよりもヘッド体積が少し大きくなり、投影面積も大きくなりました。ヘッドの慣性モーメントも大きくなり、フェースの芯を外れたミスショットでも、飛距離、方向性ともに良くなっています。
 
3. ロフトバリエーションが豊富で、特に9番ウッドが逸品
 『ゼクシオプライム』の9番ウッドを今回も試打することができ、その扱いやすさに驚きました。例えば、ドライバーの飛距離が180ヤードくらいだとしますと、5番ウッドで150~160ヤード、9番ウッドで130~140ヤードくらいになって、実際のコースにおいて、この9番ウッドの扱いが非常に良いと思います。アイアンでは球が上がらずに苦手な方には、この『ゼクシオプライム』の9番と11番はきっとお助けクラブとなると思います。
 
4. クラブが軽くなって、振りやすくなった
 新しい『ゼクシオプライム』のフェアウェイウッドを前モデルと比べますと、クラブ重量が軽くなり、振りやすさを表すクラブ慣性モーメントの値も小さくなっています。ヘッドスピードがやや遅くなったシニアの方にはさらに振りやすくなったフェアウェイウッドです。さらに、シャフトはドライバー同様に軟らかめなので、しなりを感じて振りやすく、 ヘッドスピードが上がりやすくなっています。
 

■松尾好員の辛口トーク
 辛口トークではありませんが、70代、80代の大ベテランのシニアの方にはぜひこの『ゼクシオプライム』の9番や11番を使って欲しいです。正直、ヘッドスピードが遅くなってきますと、バックスピン量も減ってしまい、球が上がりにくくなってきます。そこで、今回秀逸の9番、さらに球を上げやすい11番を試していただき、アイアンではちょっと難しくなった距離を攻めて欲しいと思っています。

ゼクシオプライム FWウッドの実測データ
  NEW PRIME 前モデル
#3
15度
R
#5
18度
R
#9
23度
R
#3 R #5 R #9 R
クラブ長さ inch 43.1 42.0 40.5 43.0 42.0 40.4
クラブ重さ g 292.3 300.3 312.5 293.7 301.7 313.2
スイングウエイト   C8.2 C7.9 C7.7 C8.3 C8.2 C8.3
クラブ慣性モーメント gcm2 272万 268万 263万 273万 270万 265万
 
ヘッド重さ g 202.8 211.2 226.2 203.7 210.5 222.7
ヘッド体積 ml 176 147 116 167 136 103
リアルロフト deg 15.0 18.7 22.8 14.3 17.5 22.5
ライ角 deg 58.5 59.0 60.5 57.0 58.5 59.5
フェース角 deg HOOK
1.0
HOOK
1.5
HOOK
1.0
HOOK
0.4
HOOK
0.8
HOOK
1.5
フェースプログレッション mm 17.6 19.8 17.4 18.1 18.8 16.8
 
重心距離 mm 35.3 34.2 32.3 34.4 32.8 33.1
重心深度 mm 33.0 32.3 32.0 32.1 30.9 27.3
フェース高さ mm 32.2 29.9 28.0 32.1 30.1 29.1
スウィートスポット高さ mm 22.7 23.6 23.1 22.8 22.1 22.4
低重心率 % 70.5 78.9 82.5 71.0 73.4 77.0
 
ヘッド左右慣性モーメント gcm2 2,784 2,513 2,301 2,605 2,350 1,973
ヘッド上下慣性モーメント gcm2 1,266 1,119 964 1,229 1,025 742
ネック軸回りモーメント gcm2 4,870 4,199 4,174 4,447 3,936 3,660
※このデータは、松尾好員氏による測定結果です。測定方法の差異により、当社の公表値と異なる場合があります。

松尾好員(まつお・よしかず)
1957年 大阪生まれ
1975年 三国丘高校在学中に第一回関西ジュニアゴルフ選手権優勝。
1980年 神戸大学工学部卒、同年住友ゴム工業(株):ダンロップに入社し、以来、ゴルフクラブの開発 に携わる。ツアープロ用のクラブの設計も数多く行い、開発した主なプロはS・バレステロス、I・ウーズナム、D・フロスト、M・マッカンバー、T・リーマン、D・グラハム、F・ゼラー、H・サットン、N・プライス、青木功、加瀬秀樹、宮瀬博文ら多数のPGAプロ。
1995年 震災で人生観が大きく変わり、より深くゴルフクラブのことを勉強する為に独立を決意。
1996年 4月に住友ゴムを退社。同年5月に有限会社ジャイロスポーツを設立し、ゴルフクラブの設計を手掛け現在に至る。